断裁包丁は、様々な要因でそりが発生し、断裁のトラブルになります。そりの発生している断裁包丁を断裁機に取り付けた場合、取り付け時点ではボルトで取り付けるため視覚的には問題が無いように見え、影響は無いように考えられますが、実際は断裁トラブルの原因になっていることが多々あります。そのため、通常断裁トラブルの発生した場合、断裁機を点検する前に、トラブルの再現を確かめ、まず断裁包丁をはずして、その包丁が反っていたり歪んでいたりしないか、研磨の状態や寸法などを拝見します。また、予備の包丁の反りや歪みのない予備の包丁を取り付けて切れ具合を点検いたします。そして、多くの場合、そりや歪が原因になっています。多数のボルトで取り付けるのですが、現実には有意差が発生しトラブルとなるので、未然に防ぐには、反りや歪の無い包丁であることを確認して使用することをお勧めいたします。そり、歪の要因は、主に保管の不備、研磨、長期間使用の劣化、初期不良などがあります。まず、保管の不備は大変多く発生しています。特に断裁回数が少ないお客様では、予備の包丁を使用するタイミングが長く、包丁単体で、平たい部分を壁に斜めに立てかけるなどは多くのそりの原因となります。保管は包丁台に取り付け、刃が壁と垂直になるような立てかけ方が良い立てかけ方です。できれば、包丁立てを別に用意して立てかけると、保管も見える管理が出来るようになります。包丁を、床に平置きすることもありますが、床のため、そりは否めないことと、足元の湿気などで錆が発生することもあり、推奨できません。次に研磨の際に反ることがありますが、通常研磨屋さんは大変反りに気を使って研磨しますのでほとんど反ることはありません。逆に長期使用によるそりを、研磨屋さんで修正していただいている場合が多いのが実情です。したがって、そりのある場合は出入りの研磨や産に相談すると修正していただけます。反る場合は、たいてい研磨条件の設定ミスが多く熱が掛かって反ることが多いようです。長期間使用による反り、歪は、使用の過程で発生してしまうことで、包丁の個体差もありますが、多くの場合、そりの発生は包丁が相当に減っている場合に発生します。その場合は、包丁の寿命も近いので新しい包丁を購入されることをお奨めします。初期不良は、通常メーカーから出て行きませんのでご安心ください。万が一発生した場合はクレームにて交換いたします。初期不良の発生する要因は、包丁の製造工程での残留応力の出現で発生します。断裁包丁(ナイフ)は、その製造工程で、ハガネを台金にロウ付けしています。包丁の刃の部分が、ハガネです。断裁機を取り付ける広い部分は台金と言います。ロウ付けというのは、金属をのりとして利用して、ハガネを台金に付ける手法です。のりとなる合金を台金とハガネの間に置き、全体を高温にして合金を溶かしてはんだのように溶着します。高温に晒され、常温に戻る際に、ハガネ、ろうの合金、台金のそれぞれに熱による応力が残留します。包丁メーカーさんは、それらが残留しないように製作するノウハウを持っているわけですが完全になくならないわけです。近年では、高温に晒して残留応力を発生させないように接着剤をを用いて刃(ハガネや超硬)を台金に着ける刃も登場しています。そういった包丁は、歪がないため切れ味が良く、包丁の持ちも長くなる特長があります。近年は航空機も接着剤で組み立てられている様に接着剤が大変進歩しているため登場してきたと考えられます。